おかえり、口笛

きみちゃん、口笛って吹ける?

 

私ね、去年の暮れ、湯船に浸かっていた時、なんか急に口笛吹きたくなったんだよね。

そう言えばもう何年も吹いてないなあ。何年もどころか、何十年、かも。

さあ、口を窄め、ピュ〜とひと吹き…って、あれ?

ピュ〜と、ピュ〜〜〜と…あれれ?

何度やってもあれれれえ?

『そこにはただ風が吹いているだけ〜〜』

はしだのりひことシューベルツ『風』が頭の中で流れましたね。

 

調べてみました。吹けなくなった原因は「老化による口の周りの筋肉の衰え」だそうで。

『老化』あーそうなんですね。そうなのかい、アラカンだもんね、あーそうなのかいったらそうなのかい。

はっ、でも原因が筋肉の衰えってことは、鍛えたらまた吹けるようになるってことよね、そうよね?

 

近所に住む、同世代の声楽家の友人。彼女は歌うことで口周りの筋肉を使い続けてる。

「口笛?車の運転しながらよく吹くよー」と、事も無げ。

 

やはりほぼ同世代の、声の仕事をしている友人。

あら、なんでそんなこと聞くの?って顔で、目の前でいきなりピューピュー吹いてみせてくれた。

 

やはり、年齢じゃない。筋肉をキープし続けることなんだな。

私は口周りに復活の狼煙を上げたね。

そしてやがては晴れてピューピューの仲間入り。きっと。

 

それから毎日、コツコツと。

だんだんだんだん、音が出るように。

ひと月半たった今、『そこにはただ風〜が吹いているだけ〜〜』も、辿々しいながら、メロディー吹けます。

声楽家の友人が言うには、元々吹けないタイプの人もいるそうで、友人の夫がそうなんだって。で、かつて吹けてた人なら、吹けなくなってもまた出来るようになるはずだって。

 

今度きみちゃんに会った時、口笛でイントロクイズを出せるくらいになれるように。

練習を続けよう。

まずはおかえり、私の口笛っ。

 

みの